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チベットと中国の話

田中宇(たなかさかい)さんの記事「北京五輪チベット騒動の深層」がとても面白かったです。

冒頭から具体的かつ説得力のある話が語られます。

 運動団体の戦術は、なかなか巧妙だ。たとえば抗議行動に参加する活動家たちは、あらかじめ衣服や顔に赤いインクをかけてから、聖火リレーに接近し、チベットの旗を振り、叫び出す。警官隊の制止を受けて活動家たちが引き倒され、近くにいるテレビ局のカメラがそれを大写しにする。活動家たちの顔や衣服は血だらけだ・・・と見る人はどきりとするが、実はあらかじめ活動家自身が体にかけておいた赤いインクである。活動家は、テレビを見る人に、中国政府がチベット人を弾圧して血だらけにしているような印象を与えることができる。

このエピソードを一度読んだだけで、チベット報道をそのまま鵜呑みにしてはいけないという意識が芽生えます。

子どもには「知らない人についていっちゃあいけないよ」とか「人は見かけで判断してはいけません」とか言う割に、大人の方が「マスコミ(=知らない人)の言うことにほいほいついて行ったり」、映像のショッキングさだけでその当否を決めつけたりすることはままありますね。

一度、この記事を読まれると、いろんな報道の嘘や底の浅さが見えてきます。ぜひ、一読ください。

 

中国に対する態度の複雑さというのは、いつごろから起こったものなのでしょうか。「あなどる」と「おもねる」の中間あたりがちょうど良いと思うのですが。コンプレックスが関係しているような気がします。中国におもねっている(と思われている)人へのレッテルとして「媚中派」がありますが、こんな言い方にさえ漢字を組み合わせて表現しなくてはいけない、というねじれた感情がそこにあるのではないでしょうか。またいつ頃から流行りだしたのかわかりませんが、「漢と書いて”おとこ”と読む」のもどういうことなんでしょうか。「男らしい」ということを「中国人」といわなくてはいけないあたりに、複雑さに満ちた日本での暮らしにくさ、話しにくさが潜んでいるように思えます。

 

 

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ぼくはIT企業の人からこんな話が聞きたい

「そんなんじゃクチコミしないよ」(河野武)を読みました。面白かったですね。

難しい言葉を使わず大事な点を付き、理想をきちんともっている。僕の思うネット界にいる人の「理想の立ち方」というものを見たような気がします。(あくまで立ち方が理想的ということであって、意見に全て賛同する、というわけではありません。こういう振る舞い方、態度を取って意見を練り、述べていくのが理想のあり方だ、という意味ですが)。

広告代理店やIT企業の人が売り込みに来る「ブログやネットを利用すればたちまち儲かる」みたいな提案の内容に辟易していましたが、この本を読んですっと鼻が通って呼吸が楽になったような気がします。

これまでどうして僕のところに来るIT企業の営業の人はこうなのか、と不満に思っていました。この本を読む限り、ブログやITをつかったマーケティングの分野に雨後の竹の子のようにいろんな人が算入(殺到)していて、質の低い状態になっている、ということなのでしょう。

巻末に、著者と広告代理店におつとめの人たちとの座談会の模様が収録されています。その中である人が「ブログでランチを食べた店を紹介すると、同僚のブロガーも同じ店に行った」という実例を紹介したところ河野さんはこう答えています。

p.165 その話は実際にブログを書いている本人を知っている同僚同士だから起こるような気もしますね。

そうなんですよ。

ブログ「だから」クチコミが起こったんじゃないんですよね。

単純に同僚同士が作用し合っているだけなんです。それがブログを通したか、携帯電話を通したか、普段の雑談の中で起こったか、ということにすぎない。いくらブログで話題になっていたとしても、本人をリアルな世界で知らないし、書いた本人に親しみももっていないようなそんなブログなら、まだテレビCMの方が影響を受けてしまいます。

こんな風に河野さんは ブログを過大評価もしないし、過小評価もしていません。僕のところに売り込みに来るIT企業の人がやたらとブログやネットの力を持ち上げる態度とはまるで違います。

以前、提案に来た企業の人から、ある有名なブログキャンペーンをしかけたのはうちなんですよ、なんて自慢をされました。業界内では他社に先駆けて担当者ブログを開始し「こんにちは、○○です」という書き出しで始まるというブログが話題になったという事例は、セミナーや雑誌でも取り上げられたので知っていました。

そうなんですか、あなた方が仕掛けたんですか。

「で、話題になったのは知っているんですが、売上はどれくらい伸びたんですか?」

その人、黙ってしまいました。急に、口が重くなり「伸びたと思いますよ」「けっこうすごく」とかIT企業とは思えないほどあいまいで感覚的な表現に。なんだそりゃ。

「書いた人を知っている」という点について、河野さんは、他の箇所でも触れています。

p23-24 ぼくはプライバシーを守ったコミュニケーションを可能にした点で、2チャンネルを評価しています。意見と発信者を分けることによって、普段は言いづらいことが言えるようになる。
p150 発言内容と発言主体ってリアルな世界では必ずセットなんです。…(略)…ブログのクチコミの場合、それがどこまでセットになっているのか疑問なんですよ。

「意見と発信者を分離する」という考え方は、「ファシリテーション」やディベートでも基本となるもので、最近読んだビジネス書や雑誌なんかでもよく出てきます。

アメリカでは、実名を名乗ったブログやSNSがある一方、日本ではそうしたブログはスゴイ有名人やIT界の先駆者を除けばまだまれです。上述のように、2チャンネルのように匿名性を担保されて始めて意見と発言者を分離できた、ということは、こうした(意見と発信者を分離して論理だけで組み立てていく)という態度は、日本人にはまだ、なじみにくいのかもしれません。

「影響力」を残すためには匿名やなりすましではダメ、一方自らを晒してでもだれかに影響を及ぼすような意見を表明するとしたら話題は「ランチレベル」になってしまう」というジレンマ。このあたりにブログを使ったマーケティングのヒントがあるような気がします。

ぼくはこういう知見を、売り込みに来るIT企業の人から聞きたいのです。「ソリューション」だの「コンサルディング」だの言う割には正式な社名も確認してこないようなそんな売り込みはもううんざりなのです。 

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エイリアンに狙われた男

 

家に5回も隕石が落ちてきた男性がいるのだそうです。

「DAILY MAIL」より

運がいいんだか、悪いんだか。

"I am being targeted by aliens. They are playing games with me. "I don't know why they are doing this. When it rains I can't sleep for worrying about another strike."
5回、であればそう信じ込むのも無理はありませんね。

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魔性の子どもたち

昨日(2008/04/11)の朝日新聞神奈川ローカルニュース「連絡票に変換ミス・誤記」という記事から。

横浜市の中学校で、〈成績を通知する連絡票に「計算力を向上させ魔性」という変換ミスがあったことがわかった〉のだそうです。言うまでもなく「向上させましょう」の単純な誤記で、こんなこと記事にするんかと思わなくもないですけれど。

信頼すべき教師から、変換ミスとは言え「魔性」と書かれたいたいけな子どもたちの驚きや、神経質な保護者たちの怒りはごもっとも、ではありますが、想像すればするほどおかしみがこみ上げてきます。誤記した上、通知する相手さえも間違ってしまったら・・・。

食が細い子ではなく、ちょっとぽっちゃりとした生徒に「給食を残さず食べ魔性」。

――悪魔的な食欲の持ち主か!

友だちが少ない子ではなく、むしろクラス中の人気者に「クラスの仲間と仲良くし魔性」。

――中学生にしてすでに小悪魔的な魅力を振りまいているのか!

ばかばかしい。くだらないけど笑えてしまう。いや、受け取った子どもたちはかわいそうだと思いますが。

この教員には、教育委員会からこんな通知書がおくられていたりして・・・。

「漢字変換に注意し魔性」。

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扇先生、大暴走

日経新聞の一番後ろ、普通の新聞ならテレビ欄があるページの名物コーナー「私の履歴書」が大変おもしろいことになっています。月に一人ずつ、各界の著名人や経営者、政治家などがそれぞれの来歴を(原則)、自ら語るというコーナー。このコーナーで連載ができれば、一流の証なのだとか。

グリーンスパンの月も興味深く読ませてもらいましたが、今月(08年4月)の執筆者は扇千景(ウィキペディア)先生です。

暴走してます。

初回こそ、疎開先でのひもじい思い出、というこの世代の方ならではのありきたりなエピソードか、という印象でしたが、だんだんおかしな事になっています。この連載はどの程度書きためておけるんでしょうか。以前、連載中に誤記があったことをわびた方がいらっしゃったので、ある程度はリアルタイムで書き進めるものなのかもしれません。「扇先生、毎回おもしろいですねえ」なんて声が本人に届いて、ますます過激にならないか心配です。

宝塚での初舞台で、楽屋用の赤いスリッパで舞台に上がってしまった、というあたりは笑えましたが、長門裕之とは「一度口づけをしたきりで」別れてしまったと書いてあったときには、「あれ、長門さんまだ生きてるよな。南田洋子(長門夫人)も存命だよな」と要らぬ心配をしてしまいました。あまりにおかしくて読んでいると吹き出してしまうので、通勤電車の中では読まないよう、朝起きたら一番に目を通すようにしています。

ちょうど今(4/10)は、結婚へ至るなれそめあたりに入ってきました。まずもって、当然のように「中村扇雀」と出てきて、「後で私と結婚することになる中村鴈治郎(今は坂田藤十郎)のことですけど、、言わなくても皆さんご存じですわよね」とばかりになんの説明もありません。「坂田藤十郎(当時の扇雀)」も「トイレに入るとき下半身裸になる癖」がある、なんて暴露されてしまい、人間国宝の夫に対しても扇先生、容赦なし。

まだ結婚前のエピソード段階でこの調子なら、テレビ司会者をやったり政治家になったりしたときの話になったらどんな暴露話が出るのでしょうか。関係者は気が気でないかもしれませんが、読者としては目が離せません。この連載のためだけでも日経は買いです。

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朝日新聞のいじわる記事。

4月6日の朝日新聞の社会面の記事には、悪意を感じましたね。

タイトルは「髪切り事件でパトロール 歩いて見えた街・仲間」といいます。

名古屋のある住宅地で通りすがり女生徒の髪を切るという通り魔(髪切魔)が出没し、住民がパトロールを始めたという内容。

地元の高齢者を中心にパトロールを行う男性が4人紹介されるのですが、中心となっているOさん(記事中では実名、以下同じ)のほか、Hさん、Kさん、Mさんが登場します。

地元高齢者のボランティア精神だけでは限界があると思いながらも(実際、パトロールを始めた後もひったくり事件は起こってしまったらしい)Oさん、Kさん、Mさんはパトロールを続けている、というのです。

これだけで終われば、美談でしょうし、この現状に行政は何もしないのか!といういつもの朝日新聞のお定まりコースに持っていくのかと思いましたが、この記事のターゲットは別なところにありました。

「対照的なのは、トヨタ自動車士出身の」と紹介されるHさん。

3日間パトロールしたものの「警鐘を鳴らすと役割は完了した」「行政のしわ寄せを住民がするのはおかしい」とやめてしまったのだと書かれてしまったのです。

記事中に多様な意見をいれて客観的に、という意図だ、と言われればそうなのかもしれませんが、実際にこのコミュニティで暮らしているHさんは立場がないと思う。大新聞が公認で「あの人は地域パトロールに非協力的」という烙印を押してしまっているのですから。

「本来は行政がするべき」というHさんの意見はもっともだし、もしパトロールに協力しないのだとしたらそのことの非難はその地域の中で受ければよいことではないのでしょうか。自営業、などとしか書かれない他のメンバーに比べて、わざわざ「トヨタ」出身で、「海外でもこんなご立派な仕事をなさっていたのにねぇ(地域のことは無関心なんですよ、奥さん)」という論調で紹介するのは、意図的、というより「悪意」にあふれています。

記者は、Hさんがこの住宅地でどんな思いで過ごさなければ行けないか考えたのでしょうか。

このシリーズのタイトルが「縁(えん・えにし)」だというのも悪い冗談のよう。気の毒に、Hさん。

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